中央線略図

 

オレンジ色の電車でおなじみ、JR中央線沿線。

東京在住でない方でも、「ああ、文化人というか、ちょっと変わった人たちが集まってるっぽいエリアでしょ?」って、思い当たるんじゃないかと。

そうです。青山・表参道がエッジなTOKYOカルチャー発信地(緊張感ある空間に加湿器の音だけが響く)だとすれば、中央線沿線はいまだにサイフォン式コーヒーやLPレコードが実働してそうな、「文化系自由人」という字面がぴったりな人々の生息エリアであります。

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私は一度も中央線沿線に暮らしたことはないのですが、東京在住20年の私なりに抱いている「中央線な人びと」の脳内イメージを並べてみることにしました(まあ、たいていの東京住民にとっての中央線イメージはこんな感じですよきっと)。

 

中央線な人々1 

さすがに今は↑こんな文士はおるまいですが。かつて太宰治(三鷹)、井伏鱒二・与謝野晶子(荻窪)、北原白秋(阿佐ヶ谷)など、多くの作家が暮らしていたことは有名。

音楽系はジャンルを問わず、高円寺周辺に集中。ちなみに現在「おたくの聖地」と呼ばれる中野駅前の「中野ブロードウェイ」上階には、かつて沢田研二(ザ・ピーナッツと離婚するまで)、青島幸男(東京都知事になるまで)も住んでいた。

中央線な人々2 

 両者ともに、間違っても「HANAKOに載ってたから」という理由では行く店を選ばないタイプ。いや・・・オーガニックさんのほうはむしろ「OL時代はHANAKOがバイブルだったけど率」が高いかもしれんなあ。

 

 中央線な人々3

 

アカデミックおじさんのカバンには英語・ドイツ語・フランス語・ロシア語あたりの本が入っているが、あくまでも参考文献であり、本来の専門はウズベク語・セルボクロアチア語・アラビア語(シリア方言)といったマイナー言語の文化圏。かつての文学青年が文学への興味と情熱をしぼませないまま大人になったようなケースで、翻訳・執筆・大学教授などが職業。「ドル固定360円時代に国費留学あるいは放浪した先」が第二の心のふるさと(以上妄想)。

白ダウンのお姉さんは中央沿線に住んでいるわけではなく、西武新宿線や青梅線方面から買い物目的で来ただけの可能性が高い。中央沿線はスタジオジブリ(東小金井)などのアニメ制作会社が点在するゆえ、海外のアニメ・ファンの間では聖地とあがめられております。

バラエティに富んでる。けど妙な一貫性がある中央線沿線。

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 もちろん私が生まれ育った大阪にも、さまざまなカルチャーがありました。

しかし私はそれらと中央線沿線との間に、なにやら決定的な違いみたいなものを感じてしまうのです。

いわゆる関西(うどん)VS関東(そば)みたいな差異じゃなくて。

 ・・・・で、はたと思い当たったのが、「実家で親と暮らしてる率」の違いでございました。

 

 中央線な人びと4

玄関を出るときに親から「なんだその格好は?!」「どこ行くの?」「誰と会うの?」と言われるのと言われないのとの違い。家賃と生活費をやりくりしながら「好き」を追うのと、そうじゃないのとの違いは、やっぱりあるんじゃないかと。

(もちろん大阪にも九州や四国から仕事や勉強のために出てきた人がたくさん住んでいる。けど絶対数が違う。おそらく一人暮らしの目的も傾向が違う。「親元に住んでたら自分らしく生きられない」という意味ではなく、単純に「環境の違いがありますわな」という話ね)

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「東京で一人暮らしなんて、気ままでけっこうだね」「夢を追って上京なんてロマンチストだね、甘ちゃんだね」と、言う人がいます。

否定しません。だけどね。

じつは現実的でなければロマンや理想を抱き続けることなんてできないんじゃないかと思うのであります。

一人暮らしは気ままであると同時に、孤独でもある。家賃は高いし、さまざまな現実が切実に迫ってくる。

つまりつべこべ言われなくても、ちゃんと「現実」に淘汰されてゆくのです。

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この沿線にかつて多くの作家が暮らしたのも、70年代のヒッピー・ムーブメントや学生運動の集会が夜な夜な開かれたのも、平日昼すぎにボサボサ髪+つっかけ履きで表を歩いても後ろ指をさされないような、呼吸しやすい開放的な土地柄だったからだそうです。

まだエスニックなんて言葉が日本語になかった時代に、ヨガも、チャイも、鼻ピアスも、アフリカの太鼓も、とりあえず存在できた場所。そんな土壌は東京ならではだと思うし、私が東京を好きなのはこういうところです。

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中央線な人びと。

「若気のいたり」を通り越し、なおそこで生きる人びと。

 

珍人ではあるけれど、意外と変人ではないんですよね(←微妙に違うの。数が少ないのが珍人、わけわからんのが変人)。ユニークな人たちが磁力にひかれるように集う。集うからビジネスも交流も成立する。だからきっと淘汰もされる。

中央線に暮らした人は、中央線沿線から離れられなくなるというのはよく聞く話。そんな中央線沿線独特の中央線っぽさに一歩距離を置いて「たまに行く場所」にしておきたい人種もいて、私もそんなひとりです。

いずれにせよ、日本中どこもかしこもスタバとビッグ・カメラとルミネばっかりーみたいな画一化が進んじゃった時代に、いまだに「絶対無二の中央線沿線っぽさ」が色あせず元気ってのがすごいなあと思うし、うれしいのであります。

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ところでなぜいきなり中央線を語ったのかというと、ええと、じつは先日約12年ぶりに下車した西荻窪(にしおぎくぼ)について書こうとしたら、序章だけでやたら長くなってしまったという次第でしてね。へへ。

というわけで、次回は、♪るんるん♪もりりんの西荻ぷちガイド♪ お楽しみに!(ほんまにプチですが)

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矢野顕子の名盤中の名盤、『Super folk song』(スーパー・フォーク・ソング)。この中に収録されてる一曲、その名もずばり『中央線』。 ♪走り出せ 中央線 夜を越え 僕を乗せて♪ ・・・名曲中の名曲です!

矢野顕子の名盤中の名盤、『Super folk song』(スーパー・フォーク・ソング)。この中に収録されてる一曲、その名もずばり『中央線』。-------- 走り出せ中央線 夜を越え僕を乗せて♪ 名曲中の名曲です!

 

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もりさんに一票~。
わかる、わかる!!
私も上京後、最初に住んだ場所が「中野」だった。ただ、学校が近いって理由で選んだんだけど、えらく住みやすかったもんなぁ。
それぞれの沿線が独特の雰囲気をもっている気がするけど、
その中で中央線沿線はダントツ、オリジナリティあふれる素敵な沿線だと思うなぁ。
「沿線界の寄せ鍋や~」(彦麻呂風)
それぞれの駅からイイお出しが出て、それが絶妙~~

だから余計に驚いた。
楳図かずおさんのストライプハウス問題。。。。。

2010年2月18日 11:10 AM | うめくり27歳!

大学時代 阿佐ヶ谷の西友でバイトをし、
そこで知り合った先輩に誘われて
高円寺の地元連の片隅で
阿波踊りに参加させてもらった輝かしい経歴を持つ二枚刃。
生まれて初めてソフトクリームを食べた場所は
阿佐ヶ谷のダイヤ街。
そして阿佐ヶ谷の七夕を毎年楽しみにしていた二枚刃。
さらには矢野顕子somedayにぶっとんだこのアルバム。
今でもウォークマンに入れて聴いています。
どうだ!まいったか!!!!!?

2010年2月18日 8:18 PM | 二枚刃

うめくり27歳さん

ほほう。私も上京最初のときにしばらく泊めてもらったお宅が中野でして。商店街に活気があって楽しいし、新宿の副都心がぶわーっと見えるのに、西城秀樹がギターを弾いてそうな物干し台をネコが歩いてるって感じで、ほんと住みやすそうな町やなーと思いました。
中央線沿線は家賃が高いのがネックだけど、物価安いからトントンか。
中野いいですなあ。
楳図かずお問題、あれって地域性というより隣接した家の人たちの個人の心象だったんでしょうかね?

二枚刃さん

へへえ、まいりましたっ!

2010年2月19日 12:13 AM | もりりん

すごい観察力と表現力!!
関西人の私に 東京の土地柄は詳しくわかりませんが、【JR中央線】のイメージがかなり植えつけられました。。。(いい意味でね)
う~ん、いいね~ 一度この近辺の居酒屋というか、ちょっとしたご飯屋さんに行ってみたいと思いました。
今日のブログもおもしろい!!

2010年2月19日 9:35 AM | かずこ

東京って、案外素朴な町並みや人が存在するんだな、って思うことがあります。
それも含めてやっぱり日本一の都会「東京」は面白い所ですね~☆

2010年2月19日 9:22 PM | かぶ

私は阿佐ヶ谷、中野に長く住んでおりました。なぜ、この地を選んだか? は定かではありません。現在は都心から電車に乗って、調布、府中を越え、多摩川を渡りきった多摩市に移住しました。今年で4年目です。この間、近くの土管でタヌキが子育て、空にはオオタカが飛んでおり、近くの公園で珍しいランの花を見つけました。最近、駅前の分かりにくい場所に開業28年の小さな喫茶店を見つけました。お客さんは全員常連、バックグラウンド・ミュジックはクラシック。なぜか気に入っています。その訳は、中野沿線にはこのような喫茶店がたくさんあったからかな? と思います。

2010年2月20日 9:38 AM | おさむちゃん

かずこさん

面白いって言ってもらえると本当にウレシイ。
「面白い」・・・いちばん嬉しい言葉です~~!

かぶさん

うちの近所には、私と同じような上京組①(すでに東京で家庭を持ち暮らしている)と、上京組②(若い人)と、代々ずーっと住んでいるようなご家庭が混在しています。
代々の東京組は、よい意味で素朴。同時に「上京というものを経験したことがない人」という特徴が良くも悪くも感じられることがあります。

おさむさん

喫茶店。ああ、なるほどなと思いました。
べつにお互いが交流するわけじゃなくても、空間やコーヒーの味やマスターを通して、人がゆるやかにつながっていそうな喫茶店。
それはドトールとは絶対的に違う場所ですね。

2010年2月20日 3:11 PM | もりりん

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森優子 著者近影

森優子 もりゆうこ/Yuko Mori

旅行コラムニスト/イラスト・エッセイスト。1967年大阪生まれ。大阪芸術大学美術学科卒

学生時代、サハラ砂漠を歩いているときに出会った人物にスカウトされて上京、ガイドブックの編集事務所に就職。93年独立、イラストを含めた執筆活動をスタート。ユーモラスで地に足の着いた旅行術&生活術は、「そうそう」「あるある」「なるほど」という多くの共感を読者から得ている。現在は東京都内にて中学生の娘・夫との三人暮らし。訪れた国は約40カ国。

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