ガンジス川はヒンズー教徒にとってのお墓でもあるのです。火葬された遺灰は遺族によってバラナシに運ばれ、川に流される。岸辺には薪で亡骸を焼く火葬場もたくさん。焼き残り目当ての野犬が、まわりで鼻をひくつかせる。死者のための街、聖地バラナシ。

ガンジス川はヒンズー教徒にとってのお墓でもあるのです。火葬された遺灰は遺族によってバラナシに運ばれ、川に流される。岸辺には薪で亡骸を焼く火葬場もたくさん。焼き残り目当ての野犬が、まわりで鼻をひくつかせる。死者のための街、聖地バラナシ。

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さて。なぜか腐らないガンジス川の水(ガンガージャールgangajal)について、前回お話しました。

今回はそのガンジス川での沐浴について、ちょっくら触れてみたいと思います。

やはり中には「聖地バラナシでヒンズー教徒と同じく沐浴してみたい」って興味を持ってる方がいるでしょうから。現地の様子をまずはご覧頂こうかと。

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日本の外務省発のインド旅行者向け注意事項には「ガンジス川では絶対に沐浴や水泳をしないように。感染症や溺死の被害が相次いでいます」と書かれております。

そういった警告に対して、「お役所の言うことなんて全部大げさよ」「私は沐浴に挑戦するつもり」という方もいらっしゃると思いますけど、じっさいに現地を見ると・・・まーやっぱり足がすくみまっせ。

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↑焼かれなかった生の死体もふつうにぷかぷか流れてるし(20メートル四方に強烈な異臭)、火葬場からは遺灰がじゃんじゃんじゃん。

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船上生活者の生活排水(糞尿)もどかどか流れ込む

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だけどその10メートル下流で洗濯屋さんがバシャバシャやってるわ(洗濯代サリー一枚100円ぐらい。意外と高い)、

みなさん「ひゃっほー♪」と泳ぎまくりだわで、仰天する。

みなさん「ひゃっほー♪」と泳ぎまくりだわで、仰天する。

 

石鹸で体ごしごし、おっちゃん嬉しそう!

石鹸で体ごしごし、おっちゃん嬉しそう!

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こういうのを目の当たりにすると、びびりながらもだんだん「意外と大丈夫なんじゃないか」「やっぱりガンジス川に来たからには沐浴を」という気持ちになってきて挑む日本人も多いみたいですね。

だけど、私は絶対にやらない。

なぜならば、旅先で体調を崩すわけにはいかないからです。ごく単純な理由。

現地の人たちとは遺伝子も免疫も違うし、肛門や目鼻口などの粘膜が淡水に触れるようなことは避けておこうと(他の国でも淡水はけっこうやばい)。保守的と言われるかもしれないけれど、危なっかしいことはやらないのが私の旅のポリシー。おかげで旅先で下痢したことは一度もなし。

じっさい、沐浴に挑戦した日本人の多くがバタバタと下痢や感染症で倒れております。大丈夫だった人もいます。

テレビで瀬戸内寂聴さんがガンガーで沐浴されるのを見ましたが、すぐに「シャワーシャワー」と走っておられました。少なくとも事前のシャワー確保は必須でしょうなあ。

※ちなみにツアーで利用されるクラスの高級ホテルはたいてい丘のほうにあります。川沿いの安宿~中級ホテルは、川からあがってすぐシャワーが浴びられるようになっていることが多いです。

どうしても川沿いに泊まりたかった私が滞在した中級ホテルの「いちばん値段が高い眺めのいい部屋」の鍵がこれ。ガンガーど真ん前の超絶景バルコニー、温風の出るクーラーつき。一泊2400円。はっきりゆーて高いわッ。

どうしても川沿いに泊まりたかった私が滞在したアルカホテルの「いちばん値段が高い眺めのいい部屋」の鍵がこれ。ガンガーど真ん前の超絶景バルコニー、温風の出るクーラーつき。一泊2400円。はっきりゆーて高いわッ。

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真昼のガンガー。あらゆる要素が船の上から見てとれる。

ボートでひとめぐり約一時間半、100ルピー(約200円)なり。

ボートでひとめぐり約一時間半、100ルピー(約200円)なり。

意外と澄んでて、冷たくて気持ちいい。

意外と澄んでて、冷たくて気持ちいい。

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ついに水ゲット! 

ついに水ゲット! 

対岸は不浄で不吉な場所とされている。沖にはワニやイルカも生息するそうな。

バラナシには野生の猿が多い。漕ぎ手のサントス君の頬には、3歳のとき寝ているところをサルに噛まれたという跡が。

バラナシには野生の猿が多い。漕ぎ手のサントス君の頬には、3歳のとき寝ているところをサルに噛まれたという跡が。

すれ違ったボートのカップル。こちらから手を振ると、「あなたに祝福を」というジェスチャーをして、ずっとこのポーズで見送ってくれた。おそらく地方からの巡礼者。遠目にも喜びが満ちていた。

すれ違ったボートのカップル。こちらから手を振ると、「あなたに祝福を」というジェスチャーをして、ずっとこのポーズで見送ってくれた。おそらく地方からの巡礼者。遠目にも喜びが満ちていた。

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夜のガンガー。

岸辺で聖職者たちが霊魂を弔うプージャー(祈祷)は毎晩行なわれる。

バラナシプージャー

ここには掲載しませんが、何枚か「なんだこりゃ?」という写真が写った。いやな気持ちがする写真ではないけれど、不思議は不思議。

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やはり観光客よりも圧倒的に多いのはインド各地からの巡礼者。ここでカルマ(業)が浄められることがヒンズー教徒の至上の喜びとされる。

やはり観光客よりも圧倒的に多いのはインド各地からの巡礼者。ここでカルマ(業)が浄められることがヒンズー教徒の至上の喜びとされる。

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水をすくって口に含んで、頭と体にもかけて、合掌。

本格的な沐浴はおもに昼間に行なわれる。ガンガーに全身漬かり、頭も口の中も清めて祈りを捧げる。

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霊魂を弔うための灯篭流し。葉っぱの皿に花びらと蝋。日本とのつながりを感じさせるアジア的風景。

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(なおバラナシの治安はお世辞にもいいとは言いがたく、路地裏で誘拐・強盗被害にあった日本人は多いのです。特に夜はプージャーが終わったとたん周辺が真っ暗になり人けもなくなるので、終了前にさっさと引き上げる・帰りの足やプロの道案内を事前に確保する・懐中電灯を持ち歩くといった対策は必須かと)

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岸辺で売られているポリ容器

岸辺で売られているポリ容器

そしてやっぱりみなさん持って帰る、それぞれの町へ、家族へ

そしてやっぱりみなさん持って帰る、それぞれの町へ、家族へ

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私もはるばる北インドのヒマラヤの村に住む友人夫婦に無事お届け♪

そして私も。はるばる北インドのヒマラヤの村に住む友人夫婦のもとへ、無事お届けできました♪

すぐさま祭壇へ。

すぐさま祭壇へ。

夫は仏教徒、妻はヒンズー教徒。両方の神仏を祀っている。

夫は仏教徒、妻はヒンズー教徒。両方の神仏を祀っている。

仏教徒の彼はこのとき「ありがとう!」と受け取っただけだったけど、これがヒンズー教徒ならすぐ開栓して口にふくみ頭にかけ、親戚中にまわすという展開になるそうな。

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ところで・・・この祭壇にはすでに3年前にもらったという水も供えられていたんですがね。

これもやっぱり腐ってなかったんですよねえ。

うーん・・・・・なぜだ?

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読まれた方も多いでしょう。ベストセラー『ガンジス川でバタフライ』。長澤まさみさん主演でテレビドラマ化もされました。著者のたかのてるこちゃんの著書の中でいちばん好きだあ。

読まれた方も多いでしょう。ベストセラー『ガンジス河でバタフライ』。長澤まさみさん主演でテレビドラマ化もされました。

たかのてるこさんとは数年前にトークショーさせてもらった(自慢)。僭越ながら、彼女の超ハッピースマイルを見て「ああ、旅の神様に愛される顔や」とつくづく感じたものです。

たかのてるこさんとは数年前にトークショーさせてもらった。僭越ながら、彼女の超ハッピースマイルを見て「ああ、旅の神様に愛される顔や」とつくづく感じたものです。

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※ホームページに工事中の箇所が多くて申し訳ありません。執筆者への連絡は、出版社経由、あるいは下記へメールにてご連絡ください(個人的なご質問・お便りなどは申し訳ありませんがご遠慮ください)。

momomo(@)cd5.so-net.ne.jp

注↑送信する場合は@の前後のカッコをとってください。

そこに生きている人と、外からやってきた人は、やっぱり違うと思いますから、森さんの意見の方に私は手を上げたいです。
日本ですら、すぐにおなかを壊す私がそれをやった日には・・・と、思ってしまいます。
ルルドのお水みたいな感じなんですかしら?

ところで、森さんの右手の赤いのはなんですか?
もし、前の日記に書かれているようでしたら、教えてください。
ちょっと、気になっています♪

2010年10月3日 3:44 PM | minneco

とて神聖な写真ありがとうございます。
日本では霊験あらたかな滝に打たれる修験僧の姿などを目にしますが、大和川や淀川で・・・ということはありませんよねえ。
仏教も歴史の中で形を変えて様々な伝わり方をしているんですね。
形こそ違えどもど、宗教の心の祈りは同じであってほしいと思う今日この頃です。

2010年10月4日 1:38 PM | かぶ

minnecoさん

旅先で病気やケガをした経験のある人って、「じぶんは健康」「じぶんは大丈夫」と思っている方が多いんです。
いわゆる過信が無茶な行動や無神経な飲食につながる。

minnecoさんみたいに「じぶんはおなかが弱い」と思ってる人は、ぜったいにガンジス川には入らない。つまりかえってそういう人のほうがトラブルと無縁というわけなんです。

ちなみに・・・強烈な便秘の方にはわが家のガンジス川の水が一発で効くような気がします。

右手の赤いのは、結婚式に参加する女性が手に描く吉祥模様「ヘンナ」です。日本でも染髪でおなじみの染料を使って描くんですよ。
これについては、近々ブログでとりあげますね!

かぶさん

もしかすると「聖なる川と信じる気持ち・信仰心」があるから彼らはガンジス川の水を口に含んでも体を壊さないのかもしれない・・・という気がしてきました。日本の修行者の火渡りも、冬の滝行も、メンタル面で強い意志があればこそ乗越えられるってところ、あるみたいですもんね。

2010年10月5日 5:13 AM | もりりん

昔、心頭滅却すれば火もまた涼し! と唱えながら信長軍に殺されたお坊さんがいました。物事にはメンタル面だけでは超えられないこともあります。しかし、超えられると信じる心がないと、人は生きては行けません。信じるものの強さは、人の力を超えることもあります。どのような宗教でもこのことを説いています。要するに、なにごともアカン! では駄目なのです。ガンジスの水が腐らないのは、科学的な根拠ではなく、信じることそのもでしょうか? それにしても、何で、阪神タイガーズはファンを裏切るんや! 今日は負けんといて! お願いします。

2010年10月5日 6:43 PM | おさむちゃん

おさむさん

わかる気がします。世界どんなところでも人あるところには信仰があるのは、要するにそれらが各々にとっての「信じる心の核」・・・すなわち生き抜いてゆくために必要不可欠な軸なのだなあと思います。
阪神タイガースは今シーズンはかなり期待してたのに、あきまへんでしたね…。タイガースファンの念は岩をも貫く、とうぜん優勝や!、と思っていたのに・・・念への過信がよくなかったのでしょうか。

2010年10月6日 6:03 AM | もりりん

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森優子 著者近影

森優子 もりゆうこ/Yuko Mori

旅行コラムニスト/イラスト・エッセイスト。1967年大阪生まれ。大阪芸術大学美術学科卒

学生時代、サハラ砂漠を歩いているときに出会った人物にスカウトされて上京、ガイドブックの編集事務所に就職。93年独立、イラストを含めた執筆活動をスタート。ユーモラスで地に足の着いた旅行術&生活術は、「そうそう」「あるある」「なるほど」という多くの共感を読者から得ている。現在は東京都内にて中学生の娘・夫との三人暮らし。訪れた国は約40カ国。

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