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ご存知の方も多いでしょうが、グレゴリ青山は漫画家。男みたいな名前ですが女性です。念のため。

大っ好きなんです。そしてこれは自慢ですが、私はおそらく誰よりも早い時期にファンになった人間だと思います。彼女がまだ漫画家として本格デビューする前からなので。

そして縁あって友だちとしてのつきあいが始まってかれこれ13年。へへ。いっしょにお風呂にも入ったことあるんやでえー。グレちゃんがいま愛用してるペンは私が教えてあげたんや。へへへ。

新刊の話。

『田舎暮らしはじめました ~うちの家賃は5千円~』 グレゴリ青山/メディアファクトリー/950円+税

『田舎暮らしはじめました ~うちの家賃は5千円~』 グレゴリ青山/メディアファクトリー/950円+税

かつて東京に暮らしていたグが、いきなり和歌山のど田舎に引っ越したのがかれこれ7~8年前。4年半の和歌山秘境暮らしを中心に、現在の京都近郊の片田舎に至るまでの、グ夫婦の田舎暮らしが描かれた漫画なんです。

田舎暮らしの本といっても、いわゆるロハス本とは一味ちがうんですわ、これが。 

だってそもそも彼女が田舎暮らしを始めた理由ってのが、「自然の中で暮らしたい」とか「都会のコンクリートジャングルで人間が忘れかけた何かを求めて・・・」とゆーのではなく、ずばり、

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 ↑・・・・・・「そして月5千円という家賃の安さに目がくらみ、特に深い考えもなく引っ越した(本人談)」、だったのでね。

「ええ~っ!?ええんかそれで?」とツッこみたくなるような理由ですが、でもまてよ、そういえばこれってけっこう説得力ある動機と思いませんか。

「とれたての自家製の野菜のおいしさ♪」とか「小鳥の鳴き声で目が覚めること」よりも、「家賃が安い」という要素のほうがよっぽどストレートに「うらやましいー!」「共感できるー!」と思いますもん、少なくとも私は。

とはいえ実行できない。それを実行しちゃったところがグレちゃん夫婦の特殊性・希少性であり、『へええええ・・・』と感心するやらあきれるやらな部分なんですが、でもグ夫婦は勤め人ではないから物理的には可能だったわけで、あながち無鉄砲というわけでもないんですね。

私はこの本が、「田舎暮らしのあくまでも一例」というスタンスで描かれている点がたいへん気に入っています。

ナチュラル・ライフを礼賛するわけではなく、田舎暮らしなんてやめときなさいと警告するわけでもなく、グレゴリ夫妻の田舎での暮らしがたんたんと描かれている。

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たまにあるじゃないですか。いいことしか言わない、ナチュラル・ライフ礼賛記事。「大自然こそが子供にとって真の先生」とか「星空を眺めながら飲むビールはお金で買えない」みたいな。そのあとに、「そりゃあ大変なこともありますけどね(笑)」といったセリフが一応ついてるけど、それには詳しく触れないような。

嘘はないにしても、「本当にそれだけ?」と思っちゃう。「そりゃあ大変なこともありますけどね(笑)」の、「(笑)」に、じつは笑い飛ばせないことも含まれてるんじゃないか、田舎暮らしの本質と本音がそこに封印されてるんじゃないか、と。

(じつは地元の人からいじめられてますとか、じつは後悔してますとか、雑誌の取材で言えないよなあ、親の反対を押し切って会社を辞めて田舎に引っ越した人もいるだろうし・・・とは思うのですが)

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その点、グレゴリ青山の『田舎暮らしはじめました』は、いぶかしみようがありません。

「ぎゃあー、気色悪い虫ー、いややあああ」

「へび出たあああ」

「肥やし、くさああああああ」

「ひさびさに出ると都会って・・・・うわああああ」

「花、咲いたあああああ」

グが暮らす場所が田舎に移っただけの普通の暮らしなんだけど、田舎だからこそ生じるさまざまなトホホやオホホがあって、それらがひじょーに素直にたんたんと書かれているからです。

言ってみればモチーフが田舎暮らしの、グレゴリ青山のコミック・エッセイというだけ。グ本人もあとがきで「田舎暮らしに何のキョーミもないという人は、一種の旅行記として読んでくだされば」と書いています。

でも、なぜでしょう。田舎暮らしの「一例」にすぎないこの本に、かえって田舎暮らしのエッセンス(本質)みたいなものを感じてしまうんです私は。

 

ちなみにグレゴリ夫婦。ふたりとも町育ちなので、じつは「虫が大の苦手 見るのも触るのもいや」なんだそうです。

そのくせ田舎に引っ越したって・・・・・

家賃が安かったからって・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

あんたらなあ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ぜひお読みくださいな。

じつは私、グレゴリ作品にはたびたび登場しています。私のことを知らない人から「もしかしてグレゴリさんの漫画にちょくちょく出てくる方ですか?」と言われることもあります。新刊でも探してみてねん。

じつは私、グレゴリ作品にはたびたび登場しています。私のことを知らない人から「もしかしてグレゴリさんの漫画にちょくちょく出てくる方ですか?」と言われることもあります。新刊でも探してみてねん。

田舎暮らしの本で、私がもっとも好きな絵のひとつ。(グレちゃん勝手にのせたで ごめんやで)

田舎暮らしの本で、私がもっとも好きな絵のひとつ。(グレちゃん勝手にのせたで ごめんやで)

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↓ちょっと古いけど、私がWEB上でグレゴリ青山の本を紹介した記事

http://www.citywave.com/moriyuko/050119/main.html

↓めったに取材を受けないグの、貴重なインタビュー記事(聞き手=森)。ずいぶん前の記事なのに、グレゴリ青山を知る情報源としていまだに各方面から重宝されておるようです。

前編 http://www.citywave.com/moriyuko/050202/main.html

中編 http://www.citywave.com/moriyuko/050216/main.html

後編 http://www.citywave.com/moriyuko/050302/main.html

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森優子 著者近影

森優子 もりゆうこ/Yuko Mori

旅行コラムニスト/イラスト・エッセイスト。1967年大阪生まれ。大阪芸術大学美術学科卒

学生時代、サハラ砂漠を歩いているときに出会った人物にスカウトされて上京、ガイドブックの編集事務所に就職。93年独立、イラストを含めた執筆活動をスタート。ユーモラスで地に足の着いた旅行術&生活術は、「そうそう」「あるある」「なるほど」という多くの共感を読者から得ている。現在は東京都内にて中学生の娘・夫との三人暮らし。訪れた国は約40カ国。

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