それにしても、バンクーバーのフィギュア男子。

始まる前は、「金メダルはロシアのプルシェンコ選手が取るだろな」と予測してませんでしたか?

高橋大輔選手に期待してなかったってことじゃなくて、プルシェンコ選手があまりにも強くて揺るぎなくて、彼が登場するだけでパーッと華やいだかと思うと・・olympic1olympic2

って、金という金を竜巻のようにさらっていくイメージが強いもので。

 ・・・・・・・・・

スケート界の帝王、エフゲニー・プルシェンコ (Evgeni Viktorovich Plushenko)。ご存知のように、彼は2006年トリノ五輪で金を獲得したあといったん引退したんですよね。

ところが2009年に復帰してあちこちで金を総なめにして、「まだまだ滑れるじゃん、それどころかやっぱり怪物じゃん!」と世間を驚愕させたのは記憶に新しいところ。

現在、五輪の採点方法について抗議を表明したことで物議をかもしているようですが(四回転ジャンプを成功させたプルシェンコが銀で四回転を飛ばなかったアメリカのライサチェク選手が金を獲得したのはおかしいとロシア国内で反発の声があがっている模様)、そんな動向も含めて、常に注目を集めるスター選手であることは間違いありません。

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いやいや。賛否両論はあれど、彼は本当にすごいと思う。

目の当たりにしてつくづく感じたんです。

そう。私は見たのです、生プルシェンコ王子のお姿を。

ほーれ↓ このとおり。

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私が撮ったんですよ。会場の、私の席から。

ちょっと古い話だけど、そのときのことを少し。

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 2008年5月、中欧はセルビアの首都ベオグラードで開催された「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」。このブログでも何度も話題にあげてるけど、テレビの視聴者の電話投票で優勝歌手が決まる、ヨーロッパの国対抗の歌謡曲オリンピックですよ。

私が熱愛するセルビアの歌姫―――マリヤ・シェリフォヴィッチMarija serifovic―――が優勝してセルビアが開催地となった大会で、あほミーハーな日本人ファンは、本戦オープニングで前年勝者として歌うマリヤの晴れ姿を拝みに行ったわけです(これが二回目のセルビア訪問。あほ。結局一年の間に3回行った)。

 ま―――さかそこでプルシェンコを見られるとはね。

 

 SRB08maj(2008-05-24)1369

 出た―――――――――って感じでしょ? 

 現役を引退し、アイス・ショーに出演するだけにとどまっていた2008年当時の貴重な国際的露出です。

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歌の大会になぜ彼が登場したかというと、ロシア代表の歌手、ディマ・ビラン君のバックダンサーとして起用されたからなんです。

「こんな大物を起用したら、肝心の歌手がかすんじゃうんじゃ?」と思われるかもしれませんが、こうなったのには明快な理由がある——あくまでも森の憶測ってことにしておきますが—–ずばり、ロシアは2008年大会でどうしても優勝したかった。勝たないわけにはいかなかったからであります。

・・・・・・・

●どうしてもロシアが2008年大会で負けるわけにはいかなかった理由●

①まだ一回も優勝したことがなかったから

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 1994年の初参戦以来、毎回いい線まで行くのに白星なし。 優勝しないと開催国になれないってこともあり、「このままでは大国のメンツがたたない」って感じではありました、確かに。

 

②トップ・アイドルが歌手生命をかけた二度目の挑戦だったから

このときの代表歌手のディマ・ビラン君(Dima Bilan/ ジーマ・ビラン)、じつはユーロビジョンの出場は二度目だったのです。

↑2006年のディマ君。飛ぶわ跳ねるわ、ものすごい熱演だったのに、トップと僅差で惜しくも二位。

↑2006年のディマ君。飛ぶわ跳ねるわ、ものすごい熱演だったのに、トップと僅差で惜しくも二位。

ただでさえ負けん気の強いディマ君が、ど根性で出場権をゲットした「リベンジ参戦」だったわけです。

 ③ロシアはこのタイミングを逃すわけにはいかなかった

 テレビ視聴者の電話投票で勝者が決まるユーロビジョン。ただし自国の歌手には投票できないシステムです。

ロシアのみならず、スラブ文化圏(ロシア語文化圏)一帯で若い女の子からキャーキャー言われてるディマ君は、他国からの集票ものぞめるトップ・アイドルだから、ロシアにとっては願ったりかなったり。

開催国セルビアとロシアは関係性が兄弟的であり、ということは今大会は優勢になる可能性が高かった。「今年勝たなきゃいつ勝つねん」状態だったことはたしか。

 

↑ディマ君Tシャツを着て黄色い声をあげていたディマ君の熱狂的ファンのセルビア人の女の子。周囲のひんしゅくをかうかう。

↑ディマ君Tシャツを着て黄色い声をあげていたディマ君の熱狂的ファンのセルビア人の女の子。周囲のひんしゅくをかうかう。

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というわけで、ロシアが国のメンツをかけて総力あげて送り込んだのが・・・

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↑このセットだった、というわけでございます。

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 この豪華っぷりは、明らかに特殊でしたなあ。

「ステージに上がれるのはその出場国の人間であること」……といった規定があるのですが、ロシアがチームに加えたバイオリニスト(エドウィン・マートンEdvin Marton)は、ハンガリー系の両親のもとウクライナで生まれ、現在はブタペスト在住。

要するに「ロシア人とちゃうやんか!」とつっこまれる人材だったわけですが、どうやらロシア側が「彼は過去にモスクワの音楽学校に在籍していた」「そもそもウクライナはソ連だったわけだし」といったなんらかの理由をこじつけたのでしょうかね。詳しくは知らんけど。

彼は二億円の名器・ストラディバリウスの生涯貸与をうけた新進気鋭のバイオリニスト。またプルシェンコ王子の伴奏曲の作曲家&共演者としても知られている。

なお、プルシェンコの奥さんはディマ君の敏腕プロデューサーだそうで、ディマの勝利に王子が一肌脱ぐのはある意味必然でもあったのでしょう(ロシアの芸能界とスポーツ界のキーパーソンのカップリング・・・松平健と大地真央が結婚したときよりはるかに強烈な「庶民との隔絶感」「黒幕感」というか、怖さを感じるのは私だけでしょうか・・・・?)

 

 SRB08maj(2008-05-24)1370

ステージ・セットの大きさにも規定があるので、いわゆる練習用の擬似リンク(氷ではなく樹脂)素材で作られた小さな円形台の上を、回って飛んで魅せまくったプルシェンコ王子―――ステージの小ささをまったく感じさせず。さすがでした。

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さて。プライドが高いことで有名なディマ君が、はたしてそんなお膳立てをされてプライドが傷つかないのか、純粋に歌だけで勝負したいと思わなかったのか・・・・と、じつは私は気になったのですが・・・。

だれもが「悪くないねえ」と言いそうな、わっかりやっすーいバラードを、ヨーロッパの実質共通言語である英語で歌い上げ(ディマ君ったら英語が話せないのに)、プルシェンコの見せ場ではちゃーんとうしろに引き下がるディマ君を見てわかりました。

話題と視線が二億円バイオリンやプルシェンコに注がれようと。

お子さま向けパフォーマンスと叩かれようと。

勝つことに意義があったのです。

 

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んで、ちゃんと勝ったんだからすごい。

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ロシアの作戦は見事に成功し、ロシアは悲願の初優勝を飾ったわけですが、会場のユーロビジョン・ファンのブーイングは凄まじかったのなんのって。

会期中、毎日わたしの隣で観戦していた、イスラエルから来たユーロビジョンおたくのエラン君↓は・・・・

開票結果を真剣に凝視するエラン君

開票結果を真剣に凝視するエラン君

ロシアの優勝が確定するやいなや、

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↑と、怒って帰ってしまった・・・・。

(半年後、彼はインターネット上で私を探しあてて「あの時はさっさと帰ってごめんね。ロシアが卑怯な勝ち方をしたことでカーッとなってしまって」と連絡してきた。ロシアの優勝がよっぽど不本意だったんやなあ…)。

 

 SRB08maj(2008-05-25)2237

ほかの観客も次々と席を立ち、表彰式ではもう席はガラガラ。

テレビ視聴者のウケはよくても、わざわざ外国から大会を見に来るほどのユーロビジョンファンにとっては「卑怯者!」「汚い手を使いやがって」な勝ち方だったというわけでしょうな。

 

おかまいなしに大はしゃぎのロシアチームと、プレゼンターを務めた前年勝者のマリヤちゃん(当時23歳・女)。マリヤちゃんったら校長先生みたいだゾ~!

おかまいなしに大はしゃぎのロシアチームと、プレゼンターを務めた前年勝者のマリヤ(当時23歳・女)。マリヤちゃんったら校長先生みたいだゾ~!

 

このとき、マイクを向けられたプルシェンコ王子は満面の笑みで言いました。

「私はスケートで数々の金メダルをとってきましたが、ここでも優勝を勝ち取れて、ロシアに優勝をもたらすことができて嬉しいです」

 ・・・・・・・・・

今すぐ戦争になってもおかしくないムードの会場。二万人の観客のうち、日本人はおそらく私一人だった。ちなみにこの大会のテレビ視聴者は10億人と言われております

今すぐ戦争になってもおかしくないムードの会場。二万人の観客のうち、日本人はおそらく私一人だった。ちなみにこの大会のテレビ視聴者は10億人と言われております

・・・

テレビやDVDの映像では歓声に聞こえる客席の声が、現場ではそうとは限らない。

「負けろ」「失敗しろ」という負の念や、氷のような視線、同国人からの「何が何でも勝て」というプレッシャー。

それらが渦巻く中で選手たちが戦っているのが国際試合なんだということを、このとき体感で学んだ気がします。

試練はどの選手も平等だとはいえ、プルシェンコはロシアというでっかい国旗を背負ってそんな場所で勝ち続けてきたんですね。

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王子の先日のショート・プログラムをいっしょにテレビ観戦した、私の師匠が言いました。

「彼は天才なんだろうね。天才だけど努力してる。だからすごいんですよ、彼は」

 ・・・・・・・

生後9ヶ月で走りまわり、4歳でスケートを始め、二ヵ月後にはもう試合に出されたというくらいだから、資質があったことは確かでしょう。

しかしもともとは体が弱く、わずか11歳で親元を離れ、孤独・貧困・劣悪な環境から這い上がってきた。

故障と手術を繰り返し、バンクーバーも注射で痛みを逃がしながらの参戦だった。

そう聞くと、「天性のスケーター、優雅な天才王子☆」なんてのどかに言ってられなくなるし、彼が勝利や採点方法にこだわるのは当然という気がするのです(「オリンピックの審査は四回転ジャンプに対する評価が低すぎる」という彼の主張は今に始まった話ではないようですし)。

今後も論争は続くんでしょうね。

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 まあ、展開がどうであろうと、バンクーバーの表彰式を見た娘がつぶやいた・・・・

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↑これを聞いて、「ほんまやなあ~~~」と思ったのは確かです。

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興味ある方はご覧になって。そのときのパフォーマンス。三分きっかり。

 


見どころは、

①1:52→じらしてじらして、やっとこさ登場するプルシェンコ王子の「出たっ!」感。

②2:21→くるっと王子がふりかえると、「バラ、バラ、バラ、白バラ、白バラ~~~っっ∞・・・画面に白バラがあふれる~っ」(娘の談)な感じ。

③ステージに向かって右方面の客席の暗闇の中に、わたくしがいる(はず)

 

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はじめまして。

わたしのパパは日本人。ママはセルビア人。

今年1月1日の元旦に、東京で生まれたの。

セルビアって国、知ってる? 

中欧の、北海道ほどの小さな国。むかしはユーゴスラビアっていう大きな国だったんだって。

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 昨年結婚した友人夫婦に赤ちゃんが生まれ、会いに行ってきました。

ああ~(^^)/ もう孫を迎えた気分なんです。嬉しくて嬉しくて。

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そもそもは、一曲の歌との出会いが始まりだった。

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ぎゃー マリヤちゃん!(↑ちなみに女/2007年当時22歳)

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セルビア共和国の歌手、マリヤ・シェリフォヴィッチMarija Serifovic。彼女の歌声に、

 まんまとハートを撃ち抜かれsrb1

 

CDを求めて一路セルビアへ(あほ・・・)srb2esc019

 

するとなぜかmarijamarija

 

マリヤちゃん本人に会えちゃったりしてseb3

 

あわあわしてる間にesc058現地の新聞にいっしょにのっちゃったりなんかして

 

そんなこんなで、なんと三度も訪れて、どんどんどんどん

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とんでもなくたくさんの出会いの輪が、国内外で広がっていったのでした・・・。

 

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愛しい、小さなあなた。ようこそ世界へ。

世界には、きれいなものがたくさんあるよ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

一曲の歌、たった一人の歌声。

その出会いがなければ、こうしてこの小さな手を握ることもなかったんだと思うと、とってもとっても不思議なのです。

じつは隣町に住んでいた、この子の両親。近くにいても、永遠に出会わなかったかもしれないのに。人の縁ってつくづく不思議ですねえ・・・。

ああ―――それにしてもめでたいっ! うれしいっ!

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↓マリヤちゃんがユーロビジョン・ソング・コンテスト2007大会で優勝したときの映像。ぜひごらん下さい(デビューして5年間鳴かず飛ばずだったマリヤの、歌手生命をかけた命がけの熱唱。特に後半はすごい迫力よん)。仲本工事、ハリセンボン、綾小路きみまろ、もうなんとでもおっしゃって。とにかく、私たちの出会いはすべてここから始まったのです。

マリヤ・シェリフォビッチ『Molitva(モリトヴァ/祈る人)』

 

 

ヨーロッパの歌合戦で優勝し、英雄となったがゆえに大きく歯車が狂い始めたマリヤの人生。私のマリヤとの出会いから、コソボ独立問題にゆれるセルビア、華やかな歌の祭典を通して見え隠れしたヨーロッパの実情を追った渾身のルポ「翻弄された歌姫」(写真・文・森優子)全11ページが掲載。『旅行人』2009年上半期号、ぜひお求め下さい。

ヨーロッパの歌合戦で優勝し、英雄となったがゆえに大きく歯車が狂い始めたマリヤの人生。私のマリヤとの出会いから、コソボ独立問題にゆれるセルビア、華やかな歌の祭典を通して見え隠れしたヨーロッパの実情を追った渾身のルポ「翻弄された歌姫」(写真・文・森優子)全11ページが掲載されております。『旅行人』2009年上期号、ぜひお求め下さい。まだバックナンバー売ってます。

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自著『買ってよかったモノ語り』(晶文社)の中のエッセイ、「160円の豆だるま」にもマリヤちゃんのことを書きました~♪

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紙と鉛筆をご準備ください。ここで問題です。 

さーて、あなたはヨーロッパの国名をいくつあげられますか? 

地図や本は見ちゃダメ。制限時間は3分。よーい、ドン!

ほれ、書き出してみて、ほれほれほれ。

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はいっ、お疲れさまでした。結果はどうでしたか? 思ったよりスラスラ出なくて愕然としたんじゃないですかね? うしししし。

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娘(中一)の社会科の授業で、先生からいきなり出題されたんだそうです。

最新の地図帳でヨーロッパとされているのは45カ国。「でもまあ、10カ国あげられたらいいほうだよ。20カ国なら大したもの」とのこと。

クラス中から「イギリス、フランス、ドイツ、スペイン、スイス、イタリア…」「えーっ、あとはわかんないよ~」という唸り声が次々とあがり、だいたい7~10カ国でギブアップしたクラスメイトが多かったようです(みんなもっと知っていそうな気がするけど、いざ自分が出題されたら、3分で思い出せるのは案外少ないということを痛感するかと)。

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で、これはずばり自慢なんですが、うちの娘が書き出したのは32カ国。

先生から「20カ国以上書き出せた人は?」と聞かれて手を上げたのはクラスで一人だけで、みんなから「す、すごい」と驚愕されたそうな。たしかにね。そりゃそうでしょうね。

 ただし、娘の答えはすべて正解ではなかったんです。グルジアとか、アルメニアとか、いわゆる世間一般的にはヨーロッパと定義されない国も混じっていたから。

「なんでそんなにたくさん知ってるの?」「なんでそんな国まで書いたの?」という疑問への答えはただひとつ。娘は『ユーロビジョン・ソング・コンテスト』という欧州の歌謡曲オリンピック(テレビ番組)の熱烈ファンだから、なのであります。

(ユーロビジョンについては以前のブログ↓ご覧になって)

http://mori-yuko.namaste.jp/blog/?p=80

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ユーロビジョンは、欧州放送連盟(EBU)に加入している国に出場権があります。加盟国にはエジプト・モロッコといった北アフリカも含まれ、グルジア、アルメニア、アゼルバイジャン、イスラエルといった「それってヨーロッパ?」な国の歌手も出場している。

つまり娘は地理の天才というわけでも、「さすがは旅を愛する森さんの娘だから」というわけでもなく、ユーロビジョンおたくゆえ書けた「3分で32カ国(不正解含む)」だったわけです。

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 おほん。さてここで。

「ヨーロッパってどんな国があったんだっけ」とイライラし始めた方のために、素晴らしい地図をご覧に入れましょう。

ほれ。ど~ん。どうです。

ほれ。ど~ん。どうです。

こういうスケールの地図、案外見たことないでしょう。(拡大して見たほうが面白いので、ぜひPCにファイルを取り込んで拡大して見て下さい)

地図帳でヨーロッパを見ると、西欧・中欧・北欧って感じでページが分かれていたり、山脈とか盆地の名前でごちゃついてわかりにくい。「もっと広範囲をシンプルに見渡したい」と思ったらいきなり全世界地図になっちゃって、ヨーロッパを国名だけで鳥瞰(ちょうかん)できる地図ってあんまりない。 

ないから作ったんですよ、私が。だから手書きなの。

EU勤務の友人がくれた地図などを参考に、しこしこ手で書き上げたのです。21世紀とは思えませんな~、ははは。

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 こうしてあらためて見ると、きっとみなさんそれぞれに「へえ」「そうだっけ」といった発見や驚きがあるんじゃないでしょうか。

(フランスとスペインの間にアンドラなんて国あったの?とか、イタリアの中にバチカン市国があることは知ってたけどサンマリノなんて知らんぞ、とか。スコットランドって国はなかったんだっけ?とか)

 もちろんこの地図に入っている国すべてがヨーロッパというわけではありません。また「ここには国境を入れるべきだろう」「これを国と認めていいのか」といった突っ込みどころも満載だと思います。

 たとえばキプロス。この地図ではざっくり「キプロス」としてあるけど、じっさいの行政区や人々の暮らしは南と北に分かれていて、これをいくつの国と数えるべきかは解釈や立場によって異なるのが現状のようです。

ユーロビジョン大会会場で見た、ギリシャの応援団は、横断幕でギリシャとキプロスの友好関係をアピールしてた

ユーロビジョン大会会場で見た、ギリシャの応援団は、横断幕でギリシャとキプロスの友好関係をアピールしてた

 コソボもしかり。日本では一応、「昨年2008年2月にセルビア共和国から独立した国」という認識が一般的だし、日本の教科書や地図帳では「コソボ共和国」としてしっかり国境が記されています。

でも現在、コソボを共和国として承認しているのは国連加盟192国のうちの62カ国。それにセルビア政府はコソボの独立を認めていないので、セルビアの地図上では『コソボ共和国』という国は、じつはまだ存在しないんですよ。

セルビアのバス車内で見かけたポスター 同盟国による意見広告『私たちは賛同する、コソボはセルビアだ』

セルビアのバス車内で見かけたポスター 同盟国による意見広告『私たちは賛同する、コソボはセルビアだ』 )

私はたまたまセルビアの歌手マリヤちゃんに惚れ込んだから知るようになったけど、ふつうにテレビや新聞を見てるだけでは、おそらく知らなかったと思うんですよね。 

そもそもヨーロッパの定義ってよくわかんないし。ロシアはヨーロッパなのか?とか。トルコはEUに入りたがってるけど、EUの加盟条件って何?とか。

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なんだか小難しい話になってしまったけれど、要するに、世界のことって知ってるようで案外知らないものかもね、ということ。そして、女子中学生に見る『好きこそものの上手なれ=ミーハーの底ぢから』の好例、という話でした。 

(娘はこのエリア以外で出題されたら撃沈と思われます。あと詳しいのはインドの芸能情報ぐらいか)

EU加盟国を塗ってみました(2009年現在同)。ノルウェーとアイスランドが加盟してないって意外でしょう? さらにEUの中でもユーロ€導入してる国としてない国、わかります~?

EU加盟国を塗ってみました(2009年現在同)。ノルウェーとアイスランドが加盟してないって意外でしょう? さらにEUの中でもユーロ€導入してる国としてない国、わかります~?

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ちなみに噂では、ユーロビジョンとほぼ同じルールやシステムを基にした、「アジア・パシフィック・ソング・コンテスト」なるものが、もうじき開催されるようですよ。

そのわりには具体的な情報が聞こえてこないけど。シンガポール、インドネシア、日本、中国などアジア15カ国が出場予定とか。

日本の代表歌手は誰になるかな。社会学者の友人は『アジアで知名度の高い、谷村新司か五輪真弓が出たら、他国から高得点を得られるのでは』と言っておりますが。それが開催されたら娘はアジアの国々にも強くなれるか?

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中欧はセルビアの友人・ドラちゃんから、プレゼントが届きましたあ。

左の青いキャップ。

昨年、セルビアの首都・ベオグラードで行われた、「ユーロビジョン・ソング・コンテスト2008」という大イベントの記念キャップでございます。

うっほー、嬉しいぜ! ドラちゃん、ありがとう。ちゅっちゅっ。

ユーロビジョンとはね。

すでにあちこちで書いたし、知人にとっては「ああ・・・またあの話かい=耳にタコ=うんざり」な話題だと思うのだけれど、ねんのため解説しておくと、ヨーロッパで53年前から行われている、国対抗の大歌合戦なのであります。

英国・フランス・ドイツといった西欧諸国はもちろん、いまやロシアやアゼルバイジャンといった「へ。それってヨーロッパなんですか?」「そんな国あったんか?」と思うような国まで参戦。

43カ国が一国につき一代表歌手を送り出して、テレビ視聴者の電話投票によって優勝者を決定するという、おそろしくも熱きバトルなのでございます。

年に一回、五月に開催。

視聴者は10億人(じゅうおくにん←地球規模←ひとり1円出すだけで10億円)

歌のコンテストとはいえ、その得票結果に「ギリシャとトルコの犬猿の仲っぷり」「ロシアとグルジアのにらみ合い」などがそれはそれは顕著にあらわれて、個人的には「こりゃ兵器使わない民族戦争だわさ。やれーやれー もっとやれー」と、毎年ウオッチングしているのです。

ちまたでは英国のスーザン・ボイルさんが優勝したテレビ・オーディション番組がすっかり話題になってしまって、「今さらユーロビジョンなんて・・・」と鼻で笑われるようなところもありますけどね。

でもね、あれはあくまでも個人のシンデレラ・ストーリーであって、こちらは血みどろの「国の威信をかけた歌のオリンピック」。別ものと認識していただきたい。

中高生のみんなー、へたな参考書を読むより勉強になるよ。蚊帳の外から見るヨーロッパのこぜりあいは、こういっちゃなんですが、なんとも面白い。

前置きが長くなりましたが、その2008年大会のキャップなのです。

私も現地へ見に行ったのです。

すぐ殺しあってもおかしくない勢いの多国籍観客席↑

すぐ殺しあってもおかしくない勢いの多国籍観客席↑

でもこんなキャップは見なかったぞ。プレス用のおみやげか。ドラちゃんったら、どうやって手に入れたんだか。(ちなみにドラちゃんは、かつて大阪に留学していたセルビア人留学生で、皇室に招かれても遜色のない美しい日本語を使い、河内のオッサン系の駄洒落にも的確なツッコミを(河内弁で)返すという、才媛です)

ドラちゃんはあちこちの黒幕とつながってるから入手できたのかなあ・・・。ちなみにこれは、ドラちゃんの友人の日本人Eさんが、運び屋となってベオグラードから届けてくれました。

右の白いキャップは、愛するセルビア人歌手・マリヤ・シェリフォビッチの、スタッフ用キャップです。

昨年、マリヤちゃん本人からもらったの(私が、直接)。

きゃー マリヤちゃん(ことし24歳・女) きゃー マリヤちゃん(ことし24歳・女)

 

ユーロビジョン2007年大会で優勝した、今世紀最高の歌姫ですよ。

(マリヤちゃんの詳細は、新刊『買ってよかったモノ語り』184ページの「160円の豆だるま」、雑誌『旅行人』2009年上期号「翻弄された歌姫」をご覧下さい)。

これらふたつを所有している日本人は、おそらく日本では私たちだけだろうよ。

いや、世界でうちだけかな。

誰もうらやましがらんってか。

いいのです。私たち一家がまず幸せならば。

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森優子 著者近影

森優子 もりゆうこ/Yuko Mori

旅行コラムニスト/イラスト・エッセイスト。1967年大阪生まれ。大阪芸術大学美術学科卒

学生時代、サハラ砂漠を歩いているときに出会った人物にスカウトされて上京、ガイドブックの編集事務所に就職。93年独立、イラストを含めた執筆活動をスタート。ユーモラスで地に足の着いた旅行術&生活術は、「そうそう」「あるある」「なるほど」という多くの共感を読者から得ている。現在は東京都内にて中学生の娘・夫との三人暮らし。訪れた国は約40カ国。

森優子の最新著作

買ってよかったモノ語り 表紙

買ってよかったモノ語り

晶文社 1,500円(税別)